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【鉄粉】付着のメカニズムと取り方

鉄粉付着を徹底検証 ダメージを受ける原因・メカニズムと修復方法を知る

塗装上ではこうなっています

洗車して汚れを落としたはずなのにザラザラする鉄粉。
白系の塗装に付くと茶色い粒が見えるほどになる場合もあります。

上の左の画像はボディ面にびっしり付着した鉄粉を、鉄粉除去剤にて除去しているう様子です。鉄粉が除去剤に反応して紫色に溶解しているのが分かります。 右のイラストが鉄粉付着のイメージ図となります。
洗車して汚れを落としたはずなのにザラザラする鉄粉。  白系の塗装に付くと粒が茶色のため、目視で茶色い点が見えるほどになる場合もあります。
鉄粉が塗装に刺さった状態というのは、酸化鉄が塗装表面にくい込んだ状態の事を指します。 その刺さり具合は、状態によって様々で、表面にこびり付いただけの状態から、深くまでくい込んだ状態までバラバラです。
イメージ図の右の方の酸化していない鉄粉の場合は、上に乗っているだけなので引っ付くことはないのですが、酸化してくると(錆びてくると)引っ付いたりくい込んだりします。 
初めは小さな鉄の粉がボディ面に乗っただけの状態ですが、それが時間の経過とともに錆びてくい込むのが鉄粉付着のメカニズムです。 その付着するメカニズム上、錆びるまでの時間は必要なので、上を向いている面(ボンネット・屋根・トランク等)よりは、車両のサイド面(ドアやフェンダー辺り)や下廻りにはどちらかというと付きにくい傾向にあります。 サイド面や下廻りは錆びる前の鉄の粉が滞在しにくく、逆に上を向いている面は鉄の粉がその場に留まりやすいのでこういう傾向になります。
鉄粉が刺さる、とよく言いますが、厳密に言うと空中にある鋭利な鉄粉が直接ボディに刺さるのではなく、ボディに粉の状態で乗った後、錆びて引っ付くという事になります。
付着してしまうと、自然に取れることはほとんどなく、撤去作業が必要になります。
また、どんなコーティングを施工していても鉄粉は一番上に付着するものなので、コーティング施工の有無に限らず付着します。

原因は空気中に舞う鉄の粉!

鉄粉の付着する要因は、ボディに乗る鉄の粉が原因です。 その鉄の粉が付く環境があればどこでも付着します。
空気中の鉄粉の発生源は、車のブレーキダストや鉄道のレールの粉、工場のばい煙や鉄工所、実に様々です。 特に鉄道の近く、工場や鉄工所の近くは鉄粉の量も多く、油断しているとボディ面がサメ肌のようにザラザラになっている事もあります。 また、鉄粉が蓄積した状態では、洗車してもクロスが滑らず水が拭き取れない程になります。
量は少なくても、大体どんなお車にも付着しているもので、洗車してもザラザラが取れないため、あまり気持ちの良い物ではありません。 量が少なければ、多少付着していても塗装に対してどうこうありませんが、一度手に触るブツブツが気になりだすと、気になってしょうがなくなってしまいます。
また、大きい鉄粉を抜いた後には、塗装に小さなピンホールのような穴が開くこともあります。 どちらにせよ、量や大きさに関わらず、付着したら出来るだけ早い段階で除去してあげるのが一番良いのではないでしょうか。

鉄粉を除去するには

【付着している量と大きさによって分ける】
鉄粉の除去方法として、鉄粉除去剤での除去、トラップネンドを使用しての除去、の2通りの方法があります。
鉄粉除去剤は、液剤で分解するタイプの除去方法なので軽度の鉄粉には効果的ですが、量が多かったり、粒が大きかったりすると除去しきれなかったり、時間がかかってしまうため不向きです。 そういった場合には、ネンドでの除去が早くて効果も高いと言えます。 ただ、ネンドでの鉄粉除去は、ボディ面をネンドで擦る必要があり、使い方を誤るとスクラッチキズを入れてしまう可能性もあります。 ネンドを使用する際には、水を流しながら力を入れずにボディ面を滑らせるように除去すると、極力キズを抑えられます。
また、冬場はネンドが固くなってしまいがちなので、ネンドをお湯に入れて温めてから使用すると軟らかい状態で使用できます。 ちなみに、鉄粉除去剤を流さずにそのまま上からネンドをかけてしまうとネンドが溶け出してしまいますのでお勧めしません。
ネンドで除去した後は、ポリッシングリキッドでボディ面を調整してやると、スベスベのより良い状態になります。

今後の対策を考える

【出来るだけ酸化しないうちに】
何より一番の鉄粉付着の防止方法は、鉄粉の飛散を極力避けられる環境を作ることですが、現実問題なかなか難しい場合が多いかと思います。
ただ、例えばボディカバーの使用等の環境面において出来ることを行うことで物理的に付着する鉄粉は劇的に軽減できます。また、どんなボディコーティングを施工していても鉄粉は一番上に付着するものなので、ボディコーティング施工の有無に限らず付着します。
極力洗車等の頻度を増やし、できるだけ鉄粉が酸化して錆びてしまわないうちに落としてしまう。
付着物系のボディダメージ全般に言えることですが、どう頑張っても付着物は気が付けば付着しているものなので、出来るだけ軽度の状態で除去するのが何よりベストです。

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夜、ライトでで照らされたり、太陽が燦々と降り注ぐ下でギラギラ見えるスクラッチ。車のボディはこのスクラッチが少ないほど、光沢が高く反射率が高く、映り込みが綺麗に見えます。 太陽の周りに丸くキズが見えていると思います。 WAXを掛けるときスポンジを円状に動かして行くとこういうキズが入るのだ、と、見え方から思いがちになりますがが、実はたいていのキズは直線なのです。 太陽の周りや、明かりで照らされた周りが際立って見えるためこういう見え方になります。また、キズは塗装表面で乱反射して目立つため、その数が多いほど光沢も低くなります。 キズが少ないと乱反射が少ないため、光沢・反射ともにより鏡面に近くなり、綺麗に見えるようになります。 塗装を鏡面にする、磨き作業とはキズを消す事です。カーケアショップやコーティング施工店で行う鏡面加工とは、すなわちスクラッチ除去作業と言っても良いでしょう。キズは、塗装の表面が切れた状態になっていますので、光が乱反射され色的に言うと白く見えます。 上のイメージ図で言うと谷の部分が切れた箇所、上の左の写真ではキズが白く乱反射しているのがよくわかると思います。 色のコントラストの関係で、色が濃い車ほど傷が目立つのはそのためで、逆に言うと色の淡い車はどちらかというとあまりキズは目立ちません。後、クリアがあるのとないのとでも見え方が違います。 例えば黒の塗料に直接キズが入って乱反射する場合はより目立ち、クリア層にキズが入って乱反射する場合は、透明であるクリアにキズが入り、その下に黒の層がある形になるので、多少見え方が変わってくるのです。

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特に夏場の夜走行すると、次々と虫がアタックしてきます。そのまま放置すると固着し、塗装をも侵してしまいます。 虫の死骸が塗装面に付着したまま長時間放置してしまうと、体液が塗装面に浸透して変色させたり浸食したりします。 おまけに、虫の死骸のタンパク質が固着してサッと洗っただけでは取れない状況なってしまい、残った虫の死骸が、より塗装を浸食させるケースも多々あります。 付着後すぐに洗い流せば簡単に取れるものなのですが、なかなかそうもいかない場合も多く、残したまま放置しがちになってしまいます。 あまり長期間放置しすぎて塗装を浸食し放題にすると、付着していた部分の塗装が割れたりして、まさに虫食い状態になる事もあります。また、虫の死骸の被害も、長期間になればコーティング被膜でもあまり効果がないので、できるだけ早く落としてあげた方が良いかと思います。